今では誰もが当たり前のように使うようになったSNSは、その利用者数の増加にともない企業のマーケティングにおいても様々な手法が登場しました。そのうちソーシャルリスニングと呼ばれる手法は、SNSで一番重要となる口コミを分析に活用するものとして近年注目を集めています。本記事では、ソーシャルリスニングという手法のポイントに分けて解説するとともに、施策を行う際の注意事項や取り入れやすい業界などをまとめてご紹介いたします。
目次
- ソーシャルリスニングとは?
- ソーシャルリスニング施策を行う目的
- 各SNS媒体ごとの特徴や、注意すべき事項
- ソーシャルリスニング施策を取り入れる方法
- ソーシャルリスニング施策を取り入れやすい業界・取り入れずらい業界
- ソーシャルリスニングにおける費用対効果の考え方
- ソーシャルリスニング施策を行う際の注意事項
- UGCツールの選定におけるポイント
- ソーシャルリスニングツールを導入する実際のステップ
ソーシャルリスニングとは?
ソーシャルリスニングとは、SNSやオンラインコミュニティなどのインターネット上で、自社や競合他社、商品やサービスなどに関する言及や評判を収集し、分析することで、市場のトレンドや顧客のニーズを把握することを指します。いち早くトレンドやニーズを把握することで、企業が市場環境の変化に柔軟に対応することができるようになります。また収集した情報をもとに、商品やサービスの改善点を見つけ出したり、マーケティング戦略の改善点を見つけ出したりすることができます。
ソーシャルリスニングは自社の課題を把握するだけでなく、顧客満足度の向上や競合他社との差別化などにも役立ちます。また近年では、AI技術を利用した自動的な言及収集や分析のツールも登場しており、より効率的にソーシャルリスニングを行うことができるようになっています。
ソーシャルリスニング施策を行う目的
市場トレンドの把握
SNS上での言及や評判を収集することで、マーケットのトレンドを把握することができます。トレンドに合わせた事業展開を行うことで、変化の激しい時代においても着実に成長を重ねることができます。
競合情報の収集
自社に対する評判だけでなく、競合他社に関する情報も収集することで競合他社の強みや弱みを分析し、自社の戦略を見直すことができます。製品やサービス力だけでなく、マーケティング戦略や採用戦略など企業活動全体に渡って改善のきっかけを得られる可能性を秘めています。
顧客ニーズの把握
SNS上の口コミにはたくさんの要望・顧客ニーズの種が溢れています。効果的に活用することができれば、顧客満足度を向上させるための改善点を見つけ出し、製品やサービスの品質を向上させることができます。
各SNS媒体ごとの特徴や、注意すべき事項
即時性が高くリアルタイムに情報を集めることがことができ、テキスト中心の投稿となるため分析が容易である点が大きな特徴として挙げられます。しかし匿名性が高いため批判的なツイートが多い傾向にあるほか、フェイクニュースや情報の錯乱なども多く行われているため、収集したデータを活用する際には人の手で正しく解析することが必要です。
投稿においては写真や動画が必要となるため視覚的な情報を集めやすく、観光地におけるスポット分析などには非常に大きな効果を発揮します。その反面、個人の素顔や本名などを投稿しているケースも多いため、個人情報の取り扱いやプライバシーへの配慮は一段と注意する必要があるといえます。
日本ではIT企業を中心にビジネスでの利用が多いため、ITツールなどにおいては口コミを収集する媒体の一つとして検討することができます。しかしFacebookは顔見知り同士がつながることを目的として誕生したプラットフォームであるため、ハッシュタグなどで情報を検索することができず、一度に大量の情報を集めることには不向きとも言えます。
TikTok
動画に特化したプラットフォームでありながら投稿のハードルは低いため、他のSNSに比べて情報がリッチでより深い分析が可能です。ユーザーの大半が若年層で特に未成年のユーザーが多い点は、マーケティングにおいてもターゲットの選定がしやすい一方で、他のソーシャルメディアと比較しても個人情報やプライバシーへの配慮はより一層注意を払う必要が生まれます。
ソーシャルリスニング施策を取り入れる方法
1. ソーシャルリスニングツールの選定
ソーシャルリスニングに外部ツールを利用する際には、自社の目的に合った機能を提供しているかどうかだけでなく、ツールのランニングコストやサポート体制についても吟味し最適なツールを選ぶことが重要です。また極めて小さな規模で行う場合には、モニタリングしたいハッシュタグやアカウントなどをブラウザのブックマークとして登録し定期的に確認するなど、実施するソーシャルリスニングの規模次第では必ずしもツールは必要なものではないともいえます。
2. モニタリングするキーワードの選定
次にモニタリングしたいキーワードを選定します。自社ブランドや競合他社の商品名、商品のカテゴリや業界の名前などモニタリングしたいキーワードを設定することで、外部ツールを通してSNSなどから関連する投稿や記事などを自動で収集することができます。
3. モニタリング結果の分析
ソーシャルリスニングツールで取得した監視結果を分析します。ユーザーの口コミや競合他社の動向などを把握することで、自社の商品やサービスの改善点や強みを把握し、今後の施策に活かすことができます。
4. 改善の実施と効果測定
ソーシャルリスニングの最も重要な点は、分析するだけに終わらず分析結果をもとに連続的な改善を実行していくことです。モニタリングの結果判明した改善点や強みをマーケティング・カスタマーサービスなどに活かすことで真に効果を発揮します。行動に落とし込むまでのフローを整備しておくことや、積極的に改善を推進していく専任の担当者を配置しておくことが重要と言えます。また改善後には、一定のスパンをおいて常に改善の効果をモニタリングすることでさらなる改善に繋げられます。
ソーシャルリスニング施策を取り入れやすい業界・取り入れずらい業界
ソーシャルリスニングを取り入れやすい業界の例
- ファストフードや飲食店などのフードサービス業界
- オンラインショップやECサイトなどの小売業界
- IT業界やコンピュータソフトウェア関連業界
- エンターテイメントやメディア業界
- 旅行業界や観光業界
ソーシャルリスニングが行いやすい業界は、オンライン上での情報が多く公開されているまたは顧客が積極的に情報を発信している、あるいは製品自体の話題性が高い業界などが挙げられます。逆にソーシャルリスニングが行いにくい業界は、プライバシーの問題や機密保持の問題がある場合や顧客が情報を公開しづらい場合、あるいは顧客がオンライン上での情報に基づいて意思決定を行わない業界などが挙げられます。
ソーシャルリスニングを取り入れずらい業界
- 医療業界や製薬業界
- 金融業界や保険業界
- 高級車や高級時計などの高級品業界
- 官公庁や政治団体、非営利団体などの公共機関
- 一部の製造業や建設業、農業などの産業
ソーシャルリスニングにおける費用対効果の考え方
ソーシャルリスニングにおける費用対効果(ROI)を考える際には、以下のようなポイントがあります。
目的を明確にする
まずは、ソーシャルリスニングの目的を明確にしましょう。例えばブランド認知度の向上、顧客の声を把握してサービス改善に繋げる、競合他社の動向を把握するなど目的によって必要な施策や取り組みが異なります。
コストを見積もる
次に、ソーシャルリスニングにかかるコストを見積もりましょう。ソーシャルリスニングのためのツールやソフトウェア、人員の人件費など必要なコストは様々です。
効果を測定する
ソーシャルリスニングを行った結果得られたデータを分析し、目的に対してどの程度の効果があったかを測定しましょう。例えば顧客満足度の向上、問い合わせの増加、SNSでのシェア数の増加など、測定する指標は目的によって異なります。
ROIを計算する
最後に、ROIを計算します。ROIは以下の式で求めることができます。
ROI = (収益 – コスト) ÷ コスト × 100
収益は目的に応じて異なりますが、例えば問い合わせの増加による売上増などが考えられます。コストは、上記で見積もったソーシャルリスニングにかかるコストです。ROIが100%以上であれば、投資に見合う効果があったと言えます。
ただし、ソーシャルリスニングによる効果は直接的なものではなく、ブランド認知度の向上や顧客満足度の改善など、間接的なものが多いため、ROIの計算には限界があるかもしれません。そのため、ROIだけに囚われず、目的に応じて適切な指標を選定し、効果を測定することが重要といえます。
ソーシャルリスニング施策を行う際の注意事項
情報の正確性
ソーシャルメディア上の情報は、ユーザーが自由に発信できるため、真偽の判別が難しい場合があります。偽情報やフェイクニュースが拡散されることもありますので、情報を収集する際には注意が必要です。
ネガティブな情報への過剰反応を避ける
ソーシャルメディア上では、批判やクレームなどネガティブな情報が拡散されやすい傾向があります。クレームに過剰に反応してその声だけに則したサービスの設計を行うと、クレームを行っていないその他大勢のユーザーにとって使いにくいものとなり、サービスの価値が知らぬ間に低下してしまうことも考えられます。
プライバシーの問題対する配慮
ソーシャルメディア上の情報には、個人情報やプライバシーに関する情報が含まれることがあります。そのため情報を収集する際には、各ソーシャルメディアの利用規約だけでなく各国の法律に照らし合わせ、投稿者のプライバシーに関するルールや規制に注意する必要があります。
ソーシャルリスニングツールの選定におけるポイント
収集することができるSNSの数
SNS上の口コミはInstagramやTwitterだけでなく、TwitterやYouTubeなど幅広いプラットフォームから獲得することができます。対応しているソーシャルメディアの数が少ないとその分機会を逃すことになるため、できるだけ多くのSNSに対応しているツールを選択することは一つの選択軸となります。
ランニングコストは長期的に運用可能なものか
また外部ツールの活用において最もネックとなるのは、長期的な運用が可能かどうかという点です。特に中小企業において外部ツールを活用する場合には、月額数万円の費用であっても長期的な視点では多額の広告費と同レベルの費用となります。自社で予定している施策の規模感や普段の広告費など複数の視点から、ランニングコストの適切性を検討することが大切です。
利用ユーザー数の多さ・機能アップデートの頻度
また機能アップデートの頻度も重要なポイントです。利用ユーザー数の多いツールでは機能アップデートも頻繁に実施されるため、現在では実装されていない機能であっても要望をあげることで将来的に実装される可能性があります。しかし利用ユーザー数の少ないツールでは頻度の高いアップデートは難しいため、現状の機能が100%満足のいくものかどうかを精査する必要があります。
ソーシャルリスニングツールを導入する実際のステップ
外部ツールを使って一括でSNSデータ収集・AI解析
希望するSNSデータの収集の仕方やAIの解析方法・実現したい活用などが一致している場合には、一つのツール上で完結させることがおすすめです。外部ツールを導入する際には、使用予定の機能やランニングコスト、サポート体制などを事前に調査した上で決定することが大切です。
外部ツールでSNSデータを収集し、自社AIで解析
また一つのツールでは希望する内容の実現が難しい場合には、SNSデータを外部ツールを使って収集し、自社のAI(または専用のAIツール)を使用と2段階に分けて導入するのもおすすめです。管理画面のUIや解析の仕方は、自社専用にカスタマイズした上で活用できます。EmbedSocialでは、7種類以上のSNSから投稿データを収集しAPI経由で投稿データを受け渡すことができるため、カスタマイズでの活用にもオススメです。
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