コスメを買うときも、旅行に行くときも、ごはんを食べに行くときも、病院に行くときも。口コミはいまや重要な購買意思決定要因になっており、企業にとって無視できないコンテンツになっています。
そこで今回は、口コミとは何か、どうやったら広がるのか、そして口コミマーケティングをするにはどういうアクションをとればよいのか、解説します。
口コミとは、とてもシンプルに言えば、人から人へ口頭で伝わる情報、評判のことです。見たもの、聞いたもの、買ったもの、行ったところ、などについて、誰かに伝えようと書いたり、語ったりしているそれらはみな口コミです。
かつて口コミはその字の通り、人の口から口へ伝わる情報でしたのでそれほど拡散力があるものではありませんでした。
しかしインターネットとスマホの登場により、状況が一変し、現在は、口コミをあちこちで見ることができます。
ぱっと思いつくのは、食べログや価格.com、@コスメなどの分野別のレビューサイトでしょうか。これに加えて、GoogleマップやFacebookページなどでも星評価ができるようになっていますよね。インスタグラムやツイッターなど個人のSNSやブログはもちろん、まとめサイト、Youtubeなどの商品解説動画も口コミとして多く利用されていると思います。
この状況を利用する形で、口コミをマーケティングに利用する企業も増えています。しかしそもそもなぜみなさん、こんなに口コミを見るのでしょう。それにはきちんと理由があります。
一般的に情報というのは、「一次情報」と「二次情報」に分けることが出来ます。
一次情報というのは、いわゆる”生”の情報で、誰の手も介さず手に入れた情報のことを指します。自分が直接見聞きした情報です。口コミも一次情報と言えます。
一方、二次情報というのは誰かの手を介して(編集されて)伝えられた情報です。例えば皆さんが毎日見ているニュースは、マスコミなどを通して伝えられていますので二次情報です。
一次情報というのはかつては手に入れにくい情報でした。例えば誰かがあまり知られていない、素晴らしい景色が見られる場所を見つけたとします。しかし、昔はその情報を得られるのはその人の周りの人くらいで、その場所を実際に見たり、見つけた人の話を聞ける人は、ごく限られていました。そこで私たちは二次情報であるガイドブックやテレビ番組を見てどんな場所なのかを知ったわけです。
しかし、ネット、スマホ、SNSの登場でこの状況が激変しました。そう。一次情報を簡単に手に入れられるようになったのです。先ほどの例で言えば、誰かが編集した情報よりも、直接その場所を見つけた人の情報を見たほうが、早いし、ほしい情報が必ず手に入ります。今まではほかの手段がないので二次情報を見ていましたが、その必要がないケースが増えたのです。
もう一つの理由。それは、人には「直接言われるよりも第三者に言われたことのほうを信頼しやすい」という傾向があるからです(「ウィンザー効果(口コミ効果)」と言われています)。私たちは一般的に、商品やサービスの提供者に「これは素晴らしいですよ」と言われるよりも、それを購入したユーザーに「これは素晴らしかったですよ」と言われるほうが、信頼できると感じてしまうのです。
つまりそもそも私たちが口コミのほうをより信じやすい上に、情報発信者から直接情報を手に入りやすくなったから、という事実が背景にあったのです。
ということで、口コミがどうしても気になってしまう私たちの傾向を利用して、商品やサービスを売ろうとするのが口コミマーケティングです。
具体的に言えば、口コミが起こるようなコンテンツを投下する、または、口コミをする機会を提供する、などして、口コミを意図的に発生させて広げていく手法です。
米ペンシルベニア大学ウォートンスクールのJonah Berger教授が2013年に発表した書籍“Contagious: Why Things Catch On”によれば、口コミを広げるにはカギとなる6つの要素「STEPPS」があると言います。どういうコンテンツが広がるのかという視点で簡単にまとめるとこんな感じです。
最近バズったSNSの投稿などを思い返してみると、思い当たる例もあるかもしれません。口コミは偶然に広がっているわけではないのです。
以上のポイントを踏まえて、実際に口コミマーケティングで行われている具体的な7つのアクションを見てみましょう。
ハッシュタグキャンペーンなどを実施して、ユーザーに商品やサービスを使った感想をSNSなどに投稿してもらう手段です。集めた写真や動画をひとまとめにウェブサイトに表示すれば、口コミウォールの完成です。何百万円もかけて広告を表示する必要もなくなるかもしれません。
自社のアンケート、FacebookページやGoogleマップのレビュー、いろいろなところから口コミを集める手段です。レビューサイトも一つのソースです。
ポイントは、いろいろなところから集めることで、情報源ごとの偏りをなるべく減らすことです。いろいろな口コミを集めたら、商品専用ページ、ホームページ、ランディングページ、などに表示して再利用しましょう。
また、良い口コミ、悪い口コミ、偏ることなく提示することも、消費者の信頼を得やすいポイントです。企業として正直・誠実であるという態度をアピールすることもできます。
ネットショッピングサイトなどでよく見られる手法ですが、評価や点数が商品と一緒に提示させる手段です。評価が一緒に提示されることで売上が上がると言われています。
「お友達紹介キャンペーン」などを実施して、既存のユーザーに自身の人脈ネットワークを顧客ネットワークに加えてもらう手段です。紹介者とその友人両方にメリットがあることがポイントです。
自社の商品やサービスのターゲットユーザーに影響力のあるインフルエンサーやオピニオンリーダーに情報を拡散してもらう手段です。ただしこれは「ステマ(ステルスマーケティング)」という言葉とともに、敏感な消費者に嫌われるやり方になりつつあります。この方法をとる場合は、PRであることを明示するなど、インフルエンサーが関係者であることを明示しましょう。
口コミに対する御礼、コメントの中身への返事など、もらった口コミに反応しましょう。口コミで一番怖いのはクレーム対応でしょうか。しかし、このクレームにどういう対応をするかも、一つのPRになります。苦情が理にかなったものであれば、丁寧に対応し、理不尽なクレームについては毅然とした対応を取れば、少なくないユーザーの理解を得られるでしょう。
口コミには商品やサービスに関する消費者の生の声が反映されています。マーケティングリサーチなどでも何百、何千という消費者の声を聴くことはできますが、調査という形になるといろいろなバイアスがかかってしまい、本音を聞きづらいという側面もあります。顧客が自発的に発した声を丁寧に分析することで少ない数でも有用な情報を見つけられることも多いと思います。
協力してくれた消費者へ何らかのメリットを提供することで、より口コミマーケティングを加速することができます。ポイントでも、無料サービスでも、なんでもいいのです。ただしその場合も、きちんとメリットを提供したうえで協力を得たということを公表することをおすすめします。口コミを扱う場合は消費者からの不信感を得ないよう十分注意が必要です。
新製品のランディングページに、「SNSでみんなが言っていることを見てみて」というメッセージとともに、SNS(InstagramやTwitter)上の関連投稿をハッシュタグで集めて表示しています。クリックすると投稿記事が見られ、ユーザーの製品に対するコメントを読むことが出来ます。
こちらのページは自社に寄せられたお客さんのレビューを星付きで、観光ツアー商品の紹介ページに載せています。それぞれのレビューが作りこまれていない生の声、という感じで、旅行での体験が活き活きと伝わってきます。
こちらは米国の眼科クリニックのウェブサイトです。こちらはフェイスブックやGoogleレビューといった複数のSNSからレビューを集めてウェブサイトのトップページに表示しています。Googleのアイコンをクリックすると地図にリンクしているので、レビューを読んで良かったら必要な情報にすぐにアクセスできるのも便利ですね。
これはご存じの方も多いと思いますが、データストレージサービスのDropboxのお友達紹介プログラムの例です。友達を紹介すると、無料の容量を獲得することができるという分かりやすい特典で、大変成功したケースとなりました。
スマホ・SNSの浸透により、口コミの活用は必須のマーケティング施策となっているように見えます。マーケティングには頻繁に”流行”が起こるので、「また新しいマーケティング手法か…」と思うかもしれませんが、うんざりする必要はありません。
なぜなら口コミはもともとあったもので、それが活用しやすくなっただけなのです。また、広告費をかけなくても効果的なマーケティングができる可能性もあることを付け加えておきます。
このブログが皆さんの口コミマーケティングを前進させるお役に立てればうれしいです。
当社製品のEmbedSocial(エンベッドソーシャル)を使えば、誰でも簡単に、低予算で口コミマーケティングを始められます。ハッシュタグキャンペーンでのUGC収集、SNSやGoogleマップからのレビューの収集、口コミの依頼や自動応答、ウェブサイトでの口コミの表示、レポートの出力、などなど、必要な機能が7,150円で始められます。初期費用もなし、です。
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