ソーシャルメディアには一般の方を中心に数多くの投稿がされていますが、その中には企業の商品に対する口コミや観光スポットなどビジネスに活用することができる投稿が数多く存在します。これらのデータはAPIや外部のツールを使うことでビッグデータとして収集することができ、ビジネスにおける意思決定や改善の取り組みに役立てることができます。
SNSのデータを収集する方法はいくつかありますが、以下に代表的な方法を紹介します。
ほとんどのSNSプラットフォームは、APIを提供しています。APIを使用すると、アクセストークンを取得しプログラムを使用してデータを収集できます。APIは開発者がアクセスできるさまざまな機能を提供し、特定の投稿やユーザーの情報、トレンドなどを取得することができます。
Webスクレイピングは、プログラムを使用してウェブサイトからデータを抽出するプロセスです。SNSのWebページをスクレイプして、投稿やユーザーの情報などを収集できます。ただし多くのSNSはスクレイピングを禁止しており、違反するとアカウントが停止される可能性があります。
いくつかのサードパーティのデータ提供業者は、SNSプラットフォームとのパートナー契約を通してデータを収集・保持して販売しています。これらの業者からデータを購入することができますが、価格が高い場合があることに加え、データの品質や正確性にも注意が必要です。
SNSデータ収集ツールは、SNSの情報を自動的に収集するために開発されたプログラムです。多くの場合これらのツールはAPIまたはスクレイピングを使用してデータを収集しており、ツールを使用した場合にもSNSの規約などを遵守することが必要とされるため、ツール選定の際にはどのような方法でSNSデータを収集しているかという点を注視する必要があります。
Webスクレイピングとは、Webページからデータを自動的に抽出することを指します。通常はプログラムを使用して、WebページのHTMLやXMLなどのコードを解析し、必要な情報を抽出します。Webスクレイピングは、Webサイト上にある大量の情報を収集するのに役立ちます。たとえば、競合他社の製品や価格情報を収集する、新しいビジネスチャンスを見つける、または自分のWebサイトを分析するために、競合他社のSEO戦略やキーワードを調べるなどの用途に使用されます。
一般的にスクレイピングは、HTTPリクエストを送信しWebサイトからデータを受信することで実行されます。その後受信したデータを解析し、必要な情報を抽出します。Webスクレイピングの技術はPython、JavaScript、PHP、Rubyなどの多くのプログラミング言語で使用されています。
多くのSNSは自社のデータを保護するためにスクレイピングを明示的に禁止しているため、Webスクレイピングでデータを取得することは、一般的にはSNSの利用規約に違反することになります。
「Facebook」においては実名での登録が推奨されていることもあり、他のSNSよりプラットフォーム上に個人情報が多数存在するため、「利用規約」によりスクレイピング行為を禁止事項として明示しています。
弊社から事前の許可を得ることなく、自動化手段を用いて弊社製品のデータにアクセスしたり、データを取得したりすること、およびアクセス許可のないデータへのアクセスを試みることは禁止されています。
2023年3月時点におけるFacebook利用規約「Meta製品で共有可能なコンテンツおよび認められる行為」からの抜粋
Google社が運営している世界最大の動画共有サイト「YouTube」においても、利用規約の制限により特定の場合を除いてスクレイピング行為は明示的に禁止されています。
本サービスの利用には制限があり、以下の行為が禁止されています。
自動化された手段(ロボット、ボットネット、スクレーパなど)を使用して本サービスにアクセスすること。ただし、(a)公開されている検索エンジンを YouTube の robots.txt ファイルに従って使用する場合、または(b)YouTube が事前に書面で許可している場合を除きます。2023年3月時点におけるYouTube利用規約「本サービスの利用」からの抜粋
日本での利用者が多い「Twitter」についても、事前承諾のないクローリング(スクレイピング)は明示的に禁止されています。
ユーザーは、本サービスへのアクセスまたはその使用中に、次のいずれも行ってはなりません。
(中略)(iii)Twitterから提供される(かつ該当する利用条件に従う場合にのみ提供される)、当社の現在利用可能な公開インターフェース以外の方法(自動プログラムか否かを問わない)で、本サービスへのアクセスもしくはその探索またはアクセスもしくは探索の試み(ただし、Twitterとの個別契約で特に許可されている場合は除く)(注:本サービスへのクローリングは、robots.txtファイルの定めによる場合は認められていますが、Twitterによる事前の同意がないまま本サービスのスクレイピングをすることは明示的に禁止されています)2023年3月時点におけるTwitter利用規約「4.本サービスの利用」からの抜粋
重要なことは、SNSのデータを収集する際には、法的な規制やSNSの利用規約を遵守することが必要であるという点です。特に商用目的での利用については、法的な問題につながる可能性があるため十分な注意が必要です。
APIとは「Application Programming Interface」の略で、ソフトウェアアプリケーション間の相互作用を可能にするインターフェースです。
APIは、ソフトウェアアプリケーションが他のアプリケーションやサービスと通信するための方法を提供します。APIを使用することで、アプリケーションが別のアプリケーションやサービスから情報を取得したり、機能を呼び出したりすることができます。これにより、プログラム開発者は同じ機能を再開発する必要がなく、開発時間を短縮することができます。
APIは、開発者コミュニティによって幅広く使用されており、多くのWebサイトやアプリケーションを構築するのに必要不可欠な存在になっています。
ソーシャルメディアのAPIを利用する上で、以下のような注意事項があります。これらの注意事項を守ることで、ソーシャルメディアのAPIを安全かつ効果的に利用することができます。
APIを通してSNSデータを利用する際には、自社でAPIと直接連携する場合・第三者が提供しているツールを利用する場合どちらにおいても、各SNSの利用規約を確認し、APIを使用するための条件や制限を理解しておく必要があります。APIは公式に提供されているためデータの取得自体の問題性は低いですが、取得したデータをどのように活用するかという点においては、一定の制限が設けられているケースも存在するため注意が必要です。
APIの使用においては、収集可能な内容に制限が設けられているケースが多いため、自社で実現したい内容がAPIの使用で現実的に実装可能かどうか事前に把握しておく必要があります。また一部のSNSではAPIの有料プランにアクセスして制限を開放することも可能なため、各プランごとのデータ取得制限や料金体系などについても確認しておくことが必要です。
またAPIを使用する際には、APIの呼び出し回数などが制限を超えないように過剰なアクセスや負荷を避ける制御を行う必要があります。負荷を分散し適切なタイミングでAPIにアクセスする必要があるため、SNSから収集するデータ量が大きくなるほど、開発における難易度も高くなります。
APIを使用してデータを収集する場合には、SNSの規約だけでなく法律面の遵守も求められます。ユーザーネームなどは個人情報に該当する可能性もあるため、APIで収集されたデータを利用する際には、著作権法などに基づいてプライバシーに配慮したうえでの使用が必要となります。
SNSから収集したデータは、以下のような方法で活用することができます。
競合他社のSNS活動やソーシャルメディア上での評判を分析することで、競合他社の口コミやサービスの市場シェアや評判を把握することができます。競合他社より劣っている点は改善へとつなげ、優れている点は自社の強みとしてより明確に打ち出すことで、データのさらなる活用が見込めます。
SNS上の投稿やハッシュタグの分析を通じて、次に流行する可能性の高いトレンドを把握することができます。他社に先駆けて市場の動向を理解することで、新商品の開発やマーケティング戦略の転換など、ビジネス展開の方向性策定に役立てることができます。
経営会議などでは取り上げられづらい、店舗における従業員のサービスや施設面の不備など顧客の不満を可視化することができます。SNSではリアルタイムに口コミが投稿されるため、集計にかかる期間も従来の紙によるアンケートと比較しても大幅に短縮できます。
SNSから収集したデータを分析することで、担当者の勘や経験に頼った意思決定ではなく、ビジネス戦略やマーケティング戦略をデータ駆動型で意思決定することができます。合理的な経営判断は従業員のモチベーション・自主性の向上にも寄与することが期待できます。
これらの方法で、SNSから収集したデータを活用することで、ビジネスにとって有益な情報を得ることができます。SNSから収集したデータのマーケティングへの活用については、下記の記事でも詳しく解説しています。
ここでは、専用のSNSデータ収集ツールを使用する場合における選定ポイントをピックアップしてご紹介します。
一部のツールでは、Instagram・Twitterだけなど限られたソーシャルメディアからの投稿データ収集にのみ対応しています。またアカウント単位での投稿データ収集だけでなく、ハッシュタグやメンションをもとに自社・競合他社に関連するビッグデータを収集することができるかという点もポイントです。
先の項目でご紹介した通り、WEBスクレイピングは多くのSNSプラットフォームで禁止されているため、ツールを通してであってもスクレイピングを実行する場合にはSNSの規約違反となる可能性があります。各プラットフォームが公式に提供しているAPIやサードパーティーのデータ提供者を利用し、投稿データを収集しているツールを選定することが大切です。
また外部ツールの活用において最もネックとなるのは、長期的な運用が可能かどうかという点です。特にSNSデータの収集においてはサービスの利用費用が高額になりがちであるため、自社で必要なデータは何かという点を精査し、中長期的に運用可能かという点も判断基準の一つになります。
また収集したSNSデータをどのように活用できるかという点は、各ツールによって異なります。ツール内で解析まで行うことができる場合利便性は高いですが、利用費用が高くなりがち・ツール外にデータを持ち出せないといったデメリットがあります。社内ポータルなどに情報を集積したい場合や専用のAIを使って解析する場合には、APIでのデータ受け渡しができるツールを選定することが推奨されます。
SNS ✕ WEB制作ツール『EmbedSocial』では、InstagramやTwitterといった定番のSNSだけでなく、YouTube・TikTokなどの動画やGoogleマップにおけるレビューなど7種類以上のソーシャルメディアから投稿情報を収集することができます。
また収集においては各SNSの公式APIが使用されているため、各SNSプラットフォームの規約に抵触する心配は必要ありません。実際に使用する際には、専用の管理画面から収集するSNSソースなどをユーザー自身で簡単に追加・削除することができ、収集したSNSデータはエクセル形式やAPIにより出力が可能です。
昨年に実施された観光庁のDX推進プロジェクトの一つである「福井県観光DX推進コンソーシアム」においては、SNSからの投稿データの収集ツールとしてEmbedSocialを活用いただきました。県内の観光スポットやイベントにおける口コミなどを通して新たな観光スポットの発掘や既存スポットにおける魅力の再発見など「稼ぐ観光」の実現のきっかけづくりに活用いただきました。
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