口コミマーケティングは、顧客やユーザー同士の口コミや評判を活用して製品やサービスの売上向上を目指すマーケティング手法です。商品やサービスの購入を検討する際、多くの人々が口コミや体験談をネットやSNSで共有する今日、企業にとって取り組むべき重要なマーケティング施策の一つになっています。
この記事では、口コミマーケティングの具体的な施策、なぜ今取り組むべきなのか、具体的な進め方と成功のポイントなどを、実際に口コミマーケティングに取り組んだ企業の事例も交えながら、分かりやすく解説します。
口コミマーケティングとは、顧客やユーザー同士の口コミや評判を活用して商品やサービスの売上向上を目指すマーケティング手法です。良い口コミや評判は信頼性が高く、顧客の購買意欲を向上させ、商品やサービスの売り上げの向上を後押しします。
具体的には以下のような施策が口コミマーケティングとして実施されています。
口コミマーケティングを導入すると、以下のような効果が期待できます。
口コミマーケティングを進めると、商品やサービスを検討している人々の購買意欲を高めることができます。
口コミは企業が提示する広告よりも人々の信頼を獲得しやすい性質があります。これは、人には「直接言われるよりも第三者に言われたことのほうを信頼しやすい」傾向(「ウィンザー効果(口コミ効果)」)や、多くの人が持っているものを自分も欲しくなるという傾向(バンドワゴン効果)があることが理由です。
実際に、生活者は商品やサービスを利用するときに口コミの情報を重視しているからです。消費者庁が実施した「令和3年消費者意識基本調査」によれば、特に年代が低くなるほどSNSの口コミを重視する、という傾向が報告されています。
私たちが開発している口コミマーケティングツールEmbedReviewsのユーザーからも、口コミを自社サイトに掲載したところ成約率が上がった、という声もいただいています。
また私たちのウェブサイトでも口コミをウェブサイトに掲載した前後で、サイトのエンゲージメント率が上がったことを確認しています。
これらの事例からも、利用者の口コミが次の顧客の購買意欲を高めるという効果はあると言えるでしょう。
口コミマーケティングとは、顧客と企業のコミュニケーションを深化させる手法でもあります。ある顧客の良い口コミが、他の顧客のブランドに対する信頼や愛着心を高める効果があるからです。
例えば、口コミを自社のホームページに掲載する際には、口コミの投稿者へ利用の許諾を取る必要があります。自分が気に入っているブランドから「投稿を利用させてほしい」と言われた顧客がポジティブな気持ちになることは、容易に想像がつくでしょう。
実際に、SNSに投稿された顧客の声をサイトに掲載したところ、顧客からの感想や反応をもらうことが増えた、という効果の事例も報告されています。
口コミが自然に拡散して宣伝効果を増幅させる手法を、バイラルマーケティングと呼ぶことがあります。
人々は興味深いコンテンツや体験に接触した際に、それを自発的に他の人と共有したくなり、情報はネットワーク上で急速に拡散されます。
口コミはSNSを通じて共有されることが多くなっており、その結果として、予算をかけた広告やプロモーションよりも広く情報が拡散し、宣伝効果を発揮するといったケースが発生しています。
そのため口コミマーケティングは、多額の予算をかけた広告やあらかじめ計画されたプロモーションよりも、費用対効果が良い手法と認識されているのです。
人々が商品やサービスを利用するとき、Googleで検索したり口コミサイトやソーシャルメディアをチェックしていますが、Googleなどの検索エンジンは、口コミで評判の良いブランドやウェブサイトを重視しています。
検索エンジンには、インデックスやランキングを作成するための独自のアルゴリズムや方法があります。良い口コミを獲得していることは、間違いなくこれらのアルゴリズムに支持され、検索結果の上位のポジションを獲得することに貢献します。
そのためクチコミマーケティングに取り組み、肯定的な口コミをネット上で多く共有されるように促進することは、ネット上での存在感を増すことにつながるのです。
ここまで口コミマーケティングについて解説してきました。それでは、実際に口コミマーケティングはどのように進めていけばよいのでしょうか。
ビジネスの状況や業界などによって違いはありますが、ここでは一般的な口コミマーケティングの実践方法を解説します。
どこで、誰から、どれくらい、集めて、どのように利用するか、施策を行う目的は何か、といった企画を明確にしていきます。口コミマーケティングに限らず、どのようなマーケティングでも大切な始めのステップです。
計測可能な定量的な目標をたてて、あとで評価しやすくすることが、成功のポイントです。
顧客が自然に、または促されてレビューや口コミを生成するように促進します。口コミマーケティングの難しさは、口コミを集めることにあります。
多くの人は、口コミはよく見ていてもなかなか自分で投稿はしてくれません。そこで企業サイドでは、口コミを投稿してくれるように促すための様々な施策を実施する必要があります。
例えば口コミの投稿をメールで依頼をする、口コミを投稿するフォームを共有する、口コミ生成を促進するためのキャンペーンを実施する、SNSで投稿を促す、といった施策を複合的に行うことが、成功のポイントです。
最もおすすめなのは、自社のECサイトや自社のホームページで、実際の購入者や利用者から口コミを集めることです。
Googleマップ上のクチコミやレビューサイトの一部は、本当に利用者が投稿した口コミなのか、自社では判別がつきにくいのが現状です。一方で、自社で集めた口コミはその点に間違いがなく、質のよい口コミを集めることができるからです。
収集した口コミに対して返信したり、二次利用のための利用許諾を取得するなど、口コミの管理を行うプロセスです。
口コミの数が多くなるとすべてに丁寧に対応することは難しいものですが、返信の一部を自動化したり、少なくとも「いいね」など反応をするなど、何らかの対応をすることがおすすめです。
否定的な口コミの管理は特に重要です。多くの人が口コミマーケティングで心配なのは、否定的な口コミへの対応方法でしょう。
まず、否定的であっても合理的な意見の場合には誠実に返信することが、他の顧客に対しても良い印象を与え、企業のブランド価値を守ることになります。
一方で、理不尽な誹謗中傷の口コミについては、踏み込んだ対応が必要になる場合があります。具体的には、投稿者への削除依頼や話し合い、Googleマップなどプラットフォーマーに不適切な口コミとして報告し対応を依頼する、専門家への相談や法的なアプローチをとるといった対策です。
対応を取る場合には、自社だけでなく、同業者、業界団体など集団で動くことも検討してみましょう。例えば2024年4月、Googleの対応に不満持ったクリニックの医師や団体が集団でGoogleを提訴するという事案があり注目されました。
これらの対策は、ビジネスオーナーにとっては金銭的・精神的負担が重いもので、取り組むことが難しいことですから、常にこのような対策はとれないかもしれません。しかし、理不尽な口コミを放置しておくことのリスクと、適正な状態を求めて正面から理不尽な口コミと戦うこと、どちらが自社のビジネスにとって有効なのか、よく検討したうえで、対応を決めていきましょう。
また、良い口コミを様々なプラットフォームや手段を通じて多く集める、という対策も有効でしょう。良質の口コミの量が増えると、一部の理不尽な口コミの影響を和らげることができるためです。
口コミを自社のマーケティング活動で二次利用することを想定している場合は、二次利用を希望する口コミや体験談の投稿者へ連絡し、利用の許諾を取るようにしましょう。
例えば、InstagramやTwitter(X)などの投稿のコメント欄に、投稿を二次利用する方法や利用の許諾を得たい旨のメッセージを送る、といった方法がとられています。
収集した口コミの内容を分析し、そこから洞察を得るプロセスです。商品やサービスについて顧客はどのように思っているのか、どのような使われ方がしているのか、何か改善につながるフィードバックはないか、分析します。
また、競合の口コミも重要な情報源となります。競合他社の口コミを分析することで、自社の製品やサービスの強みや弱点を把握し、競争力を高めるための戦略を立てることができます。
そして、口コミから得られた洞察を元に、製品やサービスの改善を行うためのフィードバックループを構築することを忘れないようにしましょう。
顧客のフィードバックに対して迅速かつ適切に対応する体制を持つことは、顧客満足度を向上させ、口コミマーケティングの効果を最大化するための成功のポイントです。
獲得した口コミや体験談を、他の顧客や、商品やサービスに興味を持つ見込み客と共有するプロセスです。
具体的には、自社ホームページやECサイトでの掲載、自社SNSアカウントでのシェアやリポスト、広告媒体での活用といった方法があります。
二次利用にあたっては、口コミの中から最も信頼性や説得力のあるコンテンツを選択すること、また独自性や斬新さを持ったコンテンツを採用するようにします。顧客の感情や体験がリアルであり、他の人々に共感を呼び起こす内容を選ぶことが成功のポイントとなります。
国内最大級のレコード買取専門店「RECORD CITY」様の買取ページトップに、Googleの口コミをお客様のリアルな声として掲載しています。高評価だけでなく、低評価の口コミも含めすべて掲載することで、会社としての信頼性が感じられます。
オフラインの店舗型ビジネスの場合、Googleマップに寄せられた口コミはサービスを比較検討するうえで多くの人が日常的に活用しているため、信頼性の高いコンテンツとして有効活用できるでしょう。
課題解決型のファイナンシャルプランナー事務所のFP Office様では、EmbedReviewsを使ってGoogleクチコミを取得しウェブサイトに掲載されています。
「Googleレビューで良い口コミを悪い口コミも忌憚なく取得して掲載することが、ほんとうの意味で信用を可視化することにつながる」というお考えから、ホームページ上での口コミ掲載をされています。口コミ掲載後は、成約率が約30%増加という成果にもつながっているとのことです。
アニメイトカフェ様の10周年を記念するキャンペーン特設ページには、SNSハッシュタグキャンペーンの応募投稿が掲載されています。ハッシュタグで寄せられた投稿を一覧表示し、盛り上がりを表現されています。UGCギャラリーとして活用でき、さらなる参加者増加を促す事例として参考にできそうです。
口コミマーケティングを進めることが、皆さんのビジネスの成長を後押しすることを解説してきましたが、取り組むうえで注意すべき点もあります。特に以下の3点には十分注意しましょう。
ステルスマーケティング(ステマ)とは、企業が、広告や宣伝であることを隠して商品やサービスを宣伝する手法を指します。
景品表示法では、「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示」(以下、「事業者の表示」という。) であるにもかかわらず、一般消費者が事業者の表示であることを分からない場合は、ステルスマーケティングとなり、規制の対象となるとしています。
・自社社員が一般消費者になりすまして有利な口コミを紹介
・著名人に報酬を支払い、その事実を隠した状態で商品を紹介してもらう
・一部の良い口コミだけをウェブサイトに表示してあたかも良い評価しかないように見せる
こうしたステマ行為は、社会的な信用を失う可能性があり、SNSで炎上するリスクもあります。インフルエンサーなどに口コミを依頼する場合は、広告であることを明示してもらうなどして対策をすることが大切です。
Googleマップなどを中心に、商品の割引や無料化と引き換えに口コミを記入させる行為は多くのプラットフォームで禁止されています。(参考:Google マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー ヘルプ)
またこのような行為により記入された商品の口コミは内容が薄いことが大半で、「どれも同じ内容のレビューが並んでいる」という事態を招きがちです。ガイドラインを違反するだけでなく、消費者からの信頼を損なう可能性もあるため、口コミの記入は任意ベースで行うことが賢明と考えられます。
一般の方のSNS投稿を無断で企業のマーケティング活動に使用する行為は、プラットフォームが二次利用を許可している場合でも著作権に抵触する恐れがあるため、使用許可を取得したうえで活用することが推奨されます。
・口コミを収集するキャンペーンを打ち出す際、あらかじめ二次活用することを規約に含める
・自然発生の口コミを活用する場合は個別で使用許可を取得する
将来的なトラブルのリスクを回避するためにも、使用許可のフローを確立しておくことが重要です。
口コミマーケティングは、顧客の購買意欲を向上し、さらに、顧客との良好な関係を構築すすることができ、さらに費用対効果の良いマーケティング手法であることを、ご紹介しました。
一方、否定的な口コミへの対応、口コミの二次利用における著作権への配慮など、口コミを取り扱うことによる特有の対策も必要となります。
難しいと感じる点もあるかもしれませんが、口コミの影響力を考えると、やはり積極的にかかわり、さらには活用する方がビジネスにとっては有効だと考えます。
この記事が口コミマーケティングを始めようとお考えの皆様のお役に立てば幸いです。
口コミマーケティングを効率的に進めることをサポートするツール、EmbedReviews(エンベッドレビュー)について詳しくお知りになりたい場合は、ぜひエンベッドソーシャルジャパンまでお問い合わせください。