UGCとは、ユーザー生成コンテンツ(User Generated Content)の略で、ユーザー自身が生成したコンテンツのことを指します。SNSなどのデジタルプラットフォームを通じて、消費者自身が情報を生成・共有する時代は、広告やマーケティングの視点から見ても大きな影響を与えています。今回は、最新のデータを元に、なぜUGCが現代のマーケティングにおいて重要なのか、どのような消費者のマインドが反映されているのかについて掘り下げてみましょう。
UGCは、商品やサービスに関するレビューや投稿、またはその写真や動画など、ユーザーが自身の体験を元に生成したコンテンツを指します。ここ数年で、UGCの影響力は急速に増しており、これには主に次の3つの理由が挙げられます。
SNSが広く普及することにより、テレビや出版社などに属さない個人でも自分の意見を広く表明することができるようになりました。とくにマスメディアよりも専門的な情報をもつ個人や、身近な知人などの意見を参考にする機会が圧倒的に多くなりました。
SNSなど無料で使えるウェブサービス広告収入により利益を得ています。その代償として、人々は一日の中で広告を目にする機会が圧倒的に多くなり、広告に対する嫌悪感を感じる人は以前よりも多くなりました。
またUGCは、企業自身ではなく第三者である消費者の意見や体験を通じて商品やサービスの価値を伝えるため、消費者にとってUGCは他の形式の広告よりも信頼性の高い情報源として活用されています。
消費者庁による平成29年度の消費者白書によると、20代〜30代では商品やサービスを検討する際に約70%の人がクチコミを参考にし、そのうち約半数の人が日常的に口コミにより購買判断を行っていることが分かります。(*1)
また消費者庁による他の統計によると、6割以上の人がインターネット上の消費者の口コミを信頼性の高い存在として捉え、7割近くの人が購買行動を起こしていることが分かります。この数値はテレビや雑誌広告を含む全ての広告手法より高い数値を出しています。
商品やサービスの購入時に参考にする情報源として有効なもの(複数回答可)としては、SNSは47.1%の結果で全体4番目であり、家族や友人・知人等の推薦といった身の回りの人からの口コミよりも高い結果となっています。またSNSの利用目的として約10%の人々が自分の好きな商品やサービスを紹介することを挙げており、これは「仕事上での交友関係の拡大」よりも高い数値を占めます。情報を得るだけでなく積極的に発信する層も多く存在することが分かります。
以上より、購買プロセスにおける口コミは参考情報としてだけでなく判断の決定材料として用いられることが多く、インターネット上のUGCは他の広告媒体や人づてによる口コミよりも消費決定に大きな影響を与えています。この傾向は今後も続くと予想され、より多くの企業がUGCを活用したマーケティング戦略を採用することになると考えられます。
*1 平成29年版消費者白書目次 “若者の情報の活用や向き合い方” より
*2 消費者庁が2016年に発表した “インターネット消費者トラブルに関する総合的な調査研究(SNSの動向整理)” より
UGCを活用したマーケティング戦略は、消費者の信頼とエンゲージメントを高めることができます。具体的には、次のような手法があります。
ユーザーが投稿した商品やサービスに関する写真や口コミを、企業の公式SNSアカウントやウェブサイトで共有することで、商品やサービスに関する信頼性を高め、ユーザーとの間に新たなコミュニケーションをつくることができます。
ユーザーが作成したコンテンツを広告に活用することで、その広告の信頼性と説得力を高めることができます。日常的にコミュニケーションを深く行っているユーザーとの間であれば、UGCの活用に広告費が発生しないケースもあるため、クリエイティブ費用の削減にもなります。
ユーザーが自身の体験や意見を共有することを促すキャンペーンを行うことで、UGCの生成を積極的に促すことができます。SNSを活用した投稿キャンペーンの場合には、投稿者のフォロワーに対してリーチすることもできるため、拡散力と認知度の拡大も期待できます。
現代の消費者は、インターネットやSNSの普及により、自分自身の購入決定に影響を及ぼす情報源としてUGCを重視する傾向が強くなっています。この傾向は、企業にとってもUGCを活用したマーケティング戦略が、今後ますます重要になることを示しています。具体的には、UGCを活用することで、消費者との信頼関係を構築し、エンゲージメントを高め、長期的なロイヤルカスタマーを育むことが可能です。
UGCの活用は、広告やマーケティングの新たな可能性を切り開くことになります。これをうまく活用することで企業は消費者の考えをより深く理解し、より効果的なマーケティング活動を展開することが可能となるでしょう。