SNSの普及に伴い、SNS上の口コミをマーケティングに活用する動きが活発化しています。しかし、一般的に導入されているUGC施策は、大手企業が大きな予算を使って実施してているものが多く、マーケティング予算が少ない企業には真似しにくいのが現状です。そこで今回は、UGCマーケティングの手法やノウハウの要点を解説するとともに、大きな予算がなくても小規模で始められる手法を、事例を交えて紹介します。
UGCとは、ユーザーがインターネット上で自ら作成、投稿するコンテンツのことを指します。ブログや投稿型掲示板・ソーシャルメディアの投稿、動画共有サイトに投稿される動画、レビューサイトに投稿される口コミなどが含まれます。
UGCは、インターネットの普及によって急速に増加しました。ユーザーにとっては自らが起点となり情報を発信することでより自由でクリエイティブな表現が可能になり、企業やブランドにとってもUGCにより消費者の声をより手軽に聞くことができるようになり、情報発信者と情報受信者の間の距離が縮まる契機となりました。
UGCマーケティングの発達に最も大きな影響を及ぼしているのは、ソーシャルメディアの普及です。企業による一方的な情報発信だけでなく、消費者は自ら体験を共有・蓄積し、より自分に合った製品を追求することができるようになりました。特にインターネット上の情報は、一度作成されれば半永久的に残るため、企業はブランドの信頼性を向上・維持ことが至上命題となりました。
SNSの普及により、消費者は商品やサービスに関する情報をテレビ広告や雑誌といった限られた情報源だけでなく、SNSや口コミサイトなどで情報を共有し合い多方面で入手することができるようになりました。そのためブランドの信頼性や評判がより消費者の間で広く認知されることとなり、企業にとってはブランドの信頼性を向上させることが販促の大きな鍵となりました。
インターネットの普及により広告が過剰に表示されるようになったことが、広告に対する嫌悪感を強める原因の1つです。特にポップアップ広告などの中断型広告は、ユーザーが閲覧しているコンテンツを中断するため、不快感を感じることが大きい傾向にあります。またユーザーが誤操作を起こすことを期待してコンテンツ内に広告を隠すテクニックや、ターゲティングの進化によりインターネットの行動が筒抜けになり、プライバシーの侵害を感じるユーザーも多いことも広告に対する嫌悪感増大の大きな要因です。
UGCを使用することで、ブランドがより多くの人々に知られるようになります。UGCを投稿するユーザーが自らのコンテンツをシェアしたり、友人やフォロワーに共有してもらうことで、ブランド認知が拡大されます。
UGCを使用することで、ユーザーとの関係をより深めることができます。自らがファンである製品や応援したい事業であれば、マーケティング目的で作成したSNSの投稿を紹介することを喜んで承諾してくれる場合も多く、「消費者」というマスの括りではなく、一人のユーザーとより密な関係を構築することが可能となります。
SNSなどに投稿される口コミは、企業側のでっちあげではなく実在することが証明できるため、製品の口コミとして比較的信頼性が高いのが特徴です。そのため、自社ホームページやECサイト上でUGCを活用することで、製品に対する評判の良さを証明でき購買を後押しする効果が期待できます。
UGCはユーザーが自発的に作成するものであるため、うまく活用することができれば広告や宣伝にかかる費用を削減することができます。クリエイティブの作成においては、グラフィックデザインだけでなく写真の撮影、またどのようなコンテンツを作成するか都度アイデアを出すことも必要です。UGCを活用することでこれらのコストを削減することができます。
UGCを作成したユーザー自身がシェアしたり友人やフォロワーに共有することで、より多くの人にリーチすることができ、マーケティング及びブランド認知の観点からも一定の効果が期待できます。
UGCはユーザー自身が作成するため、二次利用がSNSのプラットフォームの規約に違反しない場合にも、法律において著作権に抵触する可能性があります。企業側は、コンテンツの利用に関するルールを事前に把握し、二次利用の際には極力投稿者からの使用許可を得たうえでの活用が望ましいといえます。
ユーザー側が主体となり作成するUGCは、複数のソーシャルメディアにまたがるほど自社に関連するUGCを管理することが難しくなります。そのため、社内でルールを作成しUGCの管理・使用許諾の申請フローを予め設定しておくことが効果的な運用の近道です。
同様の理由で、UGCはコンテンツの質に差が出やすいことも特徴です。効果的なUGCの選定には選定者の力量が問われるため、大きな企業であるほどUGCの活用においてはクリエイティブの監修ができる人材の必要性が高まります。
ステルスマーケティングとは、消費者が自分たちが宣伝されていることに気付かないような、隠れた形で行われるマーケティング手法のことです。広告やプロモーションの形をとることが多いですが、最近っではSNSの普及により口コミが重視されるようになったことが影響し、自分たちで自社商品のレビューを作成したり、金銭の授受などによって第三者に口コミ記入を依頼するなどの形を取るケースが増えています。
UGCマーケティングを行う場合には、自社の行う施策がステルスマーケティングの方法に該当しないよう注意しましょう。
UGCは消費者が主体的に生み出すコンテンツであるため、販売する商材によって向き・不向きが存在します。施策として取り入れる際には、自社の業界や商材を考えてUGC生成の可能性を考慮に入れることが大切です。
自分自身を演出するためのアイテムやコスメティック製品など、個人のスタイルやセンスを表現するためのアイテムはUGCを生み出しやすい商材です。
食事やドリンクの写真や口コミなどがUGCとして生み出されやすい商材です。特に、写真映えするメニューや特別な体験ができるお店はUGCを生み出しやすいとされています。
旅行や観光先の写真やレビューなどがUGCとして生み出されやすい商材です。特に、美しい景色や有名な観光スポットなどはUGCを生み出しやすいとされています。
金融サービスに関する情報や体験談はUGCとして生み出しづらい商材です。個人情報や取引内容が関わるため、投稿しにくいという傾向があります。
健康や病気に関する情報や体験談はUGCとして生み出しづらい商材です。プライバシーの問題や医療情報の正確性を保つ必要があるため、投稿しにくいという傾向があります。
一般消費者向けではなく、産業用の製品や機械に関する情報や体験談はUGCとして生み出しづらい商材です。一般消費者が使用することがなく、専門的な知識や技術が必要とされるため、投稿しにくいという傾向があります。
以上のように、UGCを生み出しやすい商材は、個人の感性や経験に基づく情報を含み、一方でUGCを生み出しづらい商材は、個人情報や専門的な知識が必要とされる情報が多いといえます。
UGCを生成するための施策を実施します。例えば、SNS上でのキャンペーンや、ユーザーが写真や動画を投稿できるアプリの提供などが考えられます。この際、UGCの品質を向上させるために、報酬やプレゼントの提供などが有効です。
一般社団法人日本壁装協会様の運営されるサイト『Re壁』では、上位入賞者にプレゼントを用意したハッシュタグキャンペーンを実施することにUGCの生成を促進しています。キャンペーンとして単発の施策で終わるのではなく、生成されたUGCをサイト上のコンテンツとして再活用することでマーケティング効果を最大化しています。
ハッシュタグの選定におけるポイント
UGCの生成用には自社製品名・ブランド名そのままではなく、専用のハッシュタグを用意することがおすすめです。専用のハッシュタグであればサイト上での表示を希望しないユーザーの投稿が混ざる可能性をできる限り低くすることができます。ただし長すぎるハッシュタグやスペルミスが生じるようなハッシュタグは避けて運用しましょう。ハッシュタグの選定においては以下の記事をご参照ください。
次にUGCを収集するための仕組みを構築します。特定のハッシュタグをつけた投稿を自動で収集するツールの導入や、自社サイト上でのUGC投稿フォームの設置などの施策を実行するフェーズになります。
収集のフェーズにおいては、InstagramなどでUGCの生成用に用意したハッシュタグを検索することで、設定したハッシュタグで投稿された内容を一覧で確認できます。
その次に収集したUGCの適切な管理が必要となります。自社サイト以外のSNSなどから収集したUGCに関しては、基本的に投稿者に対して使用許諾の確認が必要であり、使用するUGCと使用しないものを適切に選定することも必要となります。
UGCの投稿者に対する使用許諾の申請においては、コメントやDMを用いて実施されいているケースが多いです。外部ツールを利用しない場合には、使用許諾の管理は各投稿のURLを取得しGoogleスプレッドシートなどを使って行うと良いかも知れません。
その後収集したUGCをマーケティングに活用します。最たる例としてはSNSや自社サイト上でUGCを公開し、ブランドの魅力を訴求することが考えられます。また集めたUGCを分析し、顧客の嗜好やトレンドを把握することも非常に重要なマーケティング施策の一つです。
最後にUGCをマーケティングに活用した効果を評価し、施策の改善を行います。UGCを公開したことによるSNSフォロワー数やサイトの滞在時間の増加、購買数の増減などを測定し、施策の改善点を見つけます。
以上のように、UGCの生成・収集・活用サイクルを適切に構築し、運用することで、顧客とのエンゲージメントの向上やブランドイメージの向上などを実現することができます。
最も簡単な方法として、商品を購入したユーザーに口コミの記入(UGCの作成)を依頼することが挙げられます。商品を既に使ってくれているため気に入れば良い口コミを残してくれる可能性も高く、購入時にメールアドレスなどの個人情報も取得しているため依頼にあたってのターゲティングも簡単です。ただし何度もしつこく依頼することは、次回以降の商品購買意欲を下げる可能性もあるため注意しましょう。
SNSキャンペーンといえば、専用のランディングページを作成して大規模に広告を行うものと思われがちですが、実のところ 1) キャンペーンの企画 2) 当選者に対するプレゼント・報酬 3) SNS上や実店舗での告知 の3点さえ揃えれば小規模にも実施することが可能です。日頃リピーターとして商品を愛用してくれているユーザーを通して、上手く行けばそのフォロワーにアプローチすることができるためキャンペーン自体のマーケティング効果も見込めます。
ダイレクトに依頼する形でなくとも、実店舗におけるポップの配置やWEBサイト上での告知を通して動線を作成することは可能です。商品のことは気に入っていてもUGCを作成するということが頭に無い場合も多く、何度も想起させることで行動へとつなげるような動線の設計が肝心です。
・実店舗におけるUGC投稿促進の導線
実店舗では下記のようにポップを作成することが有効です。特に飲食店のように待ち時間が発生する場合には、その待ち時間を利用してSNSへの投稿を実施できる点がポイントです。
・WEBサイトにおけるUGC投稿促進の導線
WEBサイトでは実店舗と比較して滞在時間は短いですが、UGCを投稿しやすいような準備を事前に行うことができます。各ソーシャルメディアや口コミ記入先のリンクをボタンで設置したり、UGCの投稿例を一覧で表示させることでどのようなコンテンツが投稿されているかイメージしやすくなります。
UGCマーケティングにおける費用対効果の考え方は、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用してマーケティングを行う際に、投資した費用と得られた効果の比率を評価することです。
具体的には、以下のような指標を用いて評価することが一般的です。
これらの指標をもとに、UGCマーケティングの費用対効果を計算することができます。たとえば、コンテンツ生成コストが10万円で、それに対して反応数が1,000件、影響力が10,000人、コンバージョン数が100件だった場合、費用対効果は以下のようになります。
・反応数あたりのコスト:10万円 ÷ 1,000件 = 100円/件
・影響力あたりのコスト:10万円 ÷ 10,000人 = 10円/人
・コンバージョンあたりのコスト:10万円 ÷ 100件 = 1,000円/件
このように、費用対効果を評価することで、UGCマーケティングの効果を客観的に把握し、今後の施策の改善に役立てることができます。
外部ツールを活用する最大のメリットは、SNSから自動でUGCを収集できる点です。UGCの収集を行いたいSNSのハッシュタグやメンションを管理画面から登録しておけば、該当のハッシュタグ・メンションをつけた投稿が自動で収集されるため各プラットフォーム上で一つずつ探す手間を省くことができます。
また収集したUGCに対して、カテゴリ分けや使用許諾の申請を管理するなども管理画面から行える点が特徴です。エクセルやスプレッドシートでなく分かりやすい画面で、SNSから収集した各投稿に対して使用許諾申請のステータスを振り分けることができます。
さらに収集したUGCに対して専用の埋め込みコードを発行してWEBサイトに埋め込むことができる点も大きなメリットです。手動で埋め込みを行う場合には投稿の埋め込みコードを一つずつ採取する必要がありますが、外部ツールを使えば多くの場合一度埋め込めば新規投稿が追加された際にも自動で反映されるため、追加負担なく運用することが可能です。
またUGCをサイトに埋め込んだ後には、導入前後における効果を測定することができる点もツール導入の大きなメリットです。クリック数などを計測することで、サイトに表示させた投稿からのアクションを明確化し、マーケティング指標への落とし込みをサポートすることができます。
UGCはInstagramだけでなく、TwitterやYouTubeなど幅広いプラットフォームから獲得することができます。対応しているソーシャルメディアの数が少ないとその分UGC獲得機会を逃すことになるため、できるだけ多くのSNSに対応しているツールを選択することは一つの選択軸となります。
また外部ツールの活用において最もネックとなるのは、長期的な運用が可能かどうかという点です。特に中小企業において外部ツールを活用する場合には、月額数万円の費用であっても長期的な視点では多額の広告費と同レベルの費用となります。自社で予定しているUGC施策の規模感や普段の広告費など複数の視点から、ランニングコストの適切性を検討することが大切です。
また機能アップデートの頻度も重要なポイントです。利用ユーザー数の多いツールでは機能アップデートも頻繁に実施されるため、現在では実装されていない機能であっても要望をあげることで将来的に実装される可能性があります。しかし利用ユーザー数の少ないツールでは頻度の高いアップデートは難しいため、現状の機能が100%満足のいくものかどうかを精査する必要があります。
Instagramから集めた投稿を公式サイトトップでギャラリーとして表示いただき、EmbedSocialの機能である「商品タグ」を活用して画像内に含まれる商品をタグ付けいただいております。Instagramを閲覧し商品に興味をもったユーザーが直接購買ページへと遷移することができるようになり、購買までのフローをより簡略化することが期待できます。
下記のように画像内に表示された商品をタグ付けし、ウィジェット内にアイテムとして追加することができます。Instagramとショッピング機能からインスピレーションされたデザインで、ユーザーも混乱することなく興味をもった製品はタグから直接遷移することができます。
ユニークなカラーラインナップが最大の特徴となっているため、カラー別の商品ページには『#ZUNDA MOCHI』などでフィルタリングをかけて整理していただいた投稿を掲載していただき、オンラインショップページへ遷移するボタンを設置することでブランドサイトから商品を購入しやすくしていただいております。
下記のように自社のUGC専用のハッシュタグから投稿を収集したうえで、それぞれの商品名などでフィルタリングすることで、各商品ごとのランディングページで対応するUGCのみを抽出することができます。事前にフィルタリングをかけておけば新規投稿の収集時にも自動で運用が行なえます。
「#フロレスタ」というハッシュタグを通して、Instagram・Twitterから自社製品に関する投稿を収集しWEBサイトへと表示いただいております。トップページでは画像だけを表示させてギャラリーとして活用いただき、各投稿をクリックすると元投稿のテキストも確認することができるため口コミ効果も見込むことができます。
SNS ✕ WEB制作ツール『EmbedSocial』では、InstagramだけでなくやTwitter・Youtube・TikTokなど7種類以上のソーシャルメディアから写真・動画・口コミを収集し自社のホームページに埋め込んで活用することができます。世界中で20万ユーザー以上・国内600社以上(2023年2月現在)が活用するツールであり、毎月のように機能がアップデートされています。
中小企業でも活用可能な柔軟な価格と豊富な機能が人気な『EmbedSocial』は、2023年2月現在において一週間の無料トライアルやWEB会議でのサービス案内などを実施いたしております。ご興味をもたれた方は、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。