UGCのマーケティングの文脈では一般的にサイトのCVRを上げるための活用がフォーカスされますが、コンテンツの一つとして捉えると本来は広告・メールマガジンなど多様な場面で活用できるはずです。またSNSやGoogleマップで投稿される口コミは現代社会において最も重要な定性データといっても過言ではなく、UGCはマーケティングのクリエイティブとしてだけでなく、消費者のリアルな声を反映するデータとして商品開発などに活かすことができます。
本記事では、UGC活用の分野で5年以上様々な企業様の成功事例・失敗事例を見てきた経験を活かし、その中でも特に秀でた活用法や考え方を紹介します。マーケティング担当者がUGC活用を社内稟議で提案しやすくなる、WEB制作会社・広告代理店様がクライアントへUGC活用を提案しやすくなることの一助になれば幸いです。
この記事の内容は、EmbedSocialが3,000ユーザー以上のベストプラクティスをまとめたホワイトペーパー(100ページ超)からの抜粋です。さらに詳しい内容を見たい方は、以下よりホワイトペーパーをダウンロードいただけますと幸いです。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)とは、一般のユーザーが自ら作成し、オンライン上に投稿したコンテンツを指します。狭義の定義では、InstagramやX(旧Twitter)のハッシュタグ投稿のようにSNS上でのフィーチャーが中心となりますが、実際にはその範囲は非常に広がっています。広義のUGCには、Amazonの製品レビューやYouTubeの動画、Googleマップのレビュー、アプリストアの評価、さらには個人ブログの記事まで、一般の人々が作成したさまざまな種類のコンテンツが含まれます。
UGCがこれほど多様化した背景には、SNSをはじめとする誰でも気軽にコンテンツを投稿できるプラットフォームが普及したことがあります。これにより、消費者は日常生活や製品体験を共有する機会が増え、UGCの量も質も飛躍的に向上しました。
このような一般の人々からの投稿が増えたことで、UGCは企業のマーケティング活動において非常に重要な資産となりました。消費者が自ら発信するリアルな声や経験は、ブランドの信頼性を高め、他の消費者の意思決定にも大きな影響を与えます。したがって、UGCをうまく活用することで、従来のマーケティング手法では得られなかった新たな価値を創出できるようになり、その重要性が以前よりも飛躍的に増しています。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)は、単にウェブサイトのコンバージョン率(CVR)を上げるためのツールではありません。実際には、企業全体の経営課題を解決するための強力な資産であり、複数の部門でその価値を最大限に活用することができます。以下では、経営層、マーケティング部門、商品開発部門に加えて、他の部門でのUGCの具体的な活用例を紹介します。
経営層にとって、UGCは市場のリアルな声をリアルタイムで把握するための重要なデータ源となります。消費者のフィードバックやレビューを分析することで、ブランドの評判や製品の評価を迅速に把握し、経営戦略の強化に役立つ戦略的な意思決定をサポートします。また、UGCから得られるトレンド情報を活用することで、新市場への参入や製品改良、サービス拡大などの成長戦略に必要な根拠を得ることができます。
マーケティング部門において、UGCは広告やプロモーションの信頼性を高めるために活用できます。消費者が実際に投稿した体験談やレビューは、企業が発信するメッセージよりも説得力があり、広告やSNSキャンペーンにUGCを組み込むことで、ブランドの認知度向上やエンゲージメントの向上が期待できます。また、UGCを活用した口コミマーケティングにより、広告費を抑えながら高い効果を得ることができます。
商品開発部門では、UGCから得られる消費者のリアルな声を活かして、製品の改良や新商品の開発を行うことが可能です。ユーザーのレビューやフィードバックを分析することで、現行製品の改善点や求められる機能を特定し、顧客満足度を高めるための製品開発に役立てることができます。また、UGCから得られるトレンドをキャッチして、新製品のコンセプトや仕様を市場のニーズに合った形で反映することも可能です。
カスタマーサポート部門でも、UGCは非常に有用です。ユーザーからのレビューやフィードバックを分析することで、よくある問題点やクレームの傾向を把握し、それに基づいて対応マニュアルを改善したり、FAQを充実させたりすることができます。また、積極的にUGCを活用して顧客の声に基づくサービス向上を行うことで、顧客満足度の向上にも繋がります。
UGCは、人事・採用部門においても活用可能です。社員の声や社内イベントの様子をSNSでシェアすることで、企業文化や職場の雰囲気を求職者に伝えることができます。UGCを利用した採用ブランディングにより、魅力的な職場環境をアピールし、優秀な人材を引きつける効果が期待できます。
UGCを効果的に活用し、企業の成長を促進するためには、単発の取り組みだけでなく、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)を通じた継続的な改善が不可欠です。PDCAを意識した運用によって、UGCの獲得、分析、活用のプロセスを循環させることで、成果を最大化することができます。以下では、このPDCAの各段階における3つの重要な施策を紹介します。
まず、UGCの量を増やすための取り組みを計画・実行します。具体的には、消費者に投稿を促すキャンペーンを実施したり、SNS上でハッシュタグを活用した参加型コンテストを企画したりするなどの施策があります。また、商品購入後のレビュー依頼やフィードバックのお願いを積極的に行うことで、UGCの生成を促進することが可能です。計画(Plan)を立てた上で、その計画に基づく施策(Do)を迅速に実行することが重要です。
次に、生成されたUGCを分析し、顧客理解を深めることが求められます。UGCは消費者のリアルな声や市場の動向を反映しており、その分析から得られるインサイトは、製品改善や新しいマーケティング施策の策定に役立ちます。例えば、よく言及されるキーワードや、ポジティブ・ネガティブなフィードバックの傾向を把握することで、顧客ニーズの変化や新たな機会を見極めることができます。このようなチェック(Check)を通じて、次の施策の方向性を見直すことが可能です。
UGC分析の結果を踏まえて、二次利用する施策に繋げます。UGCはそのまま広告やSNSコンテンツに利用できるほか、ウェブサイトの特集ページやデジタルサイネージなど、さまざまなメディアで再活用することが可能です。また、UGCを使ったストーリーテリングを展開し、消費者に共感を呼び起こすコンテンツとして提供することも効果的です。ここで得られた結果やインサイトをもとに、さらに改善策を立て、次のサイクルに繋げていきます(Action)。
この3つの施策をPDCAサイクルで循環させることで、UGCの量と質を高めるだけでなく、マーケティング全体の精度を向上させ、成果を最大化することが可能です。UGCの増加と分析、そして二次利用のサイクルを絶えず繰り返すことで、企業は常に最適な戦略を維持し、変化する市場環境にも柔軟に対応することができます。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)は企業にとって貴重なマーケティングリソースですが、消費者が自主的に口コミを投稿するケースは限られています。ある調査ではインターネット(Google, Amazon, 価格.com)などで「口コミを投稿したことがありますか?」という質問を30代の男女300人に聞いたところ、約6割の人が「口コミを投稿したことがない」と回答しました。
このデータからも、UGCが自然に発生することを期待するだけでは、十分な成果を得るのは難しいことがわかります。そのため、企業はUGCが生まれるのを待つのではなく、積極的に消費者に投稿を促す施策を行う必要があります。
対面での紹介は、店舗やイベントなどの対面の場でスタッフが口コミ投稿やSNSでのシェアを直接促す方法です。対面でのコミュニケーションは信頼感を高め、消費者が行動に移る確率を上げる効果があります。例えば、購入時に「レビューを書いていただけると特典があります」と声をかけるだけでも、投稿率の向上が期待できます。
ファイナンシャル・プランナー事務所を経営されている「FP Office」様では、実際に来店いただいたお客様に口コミの投稿を依頼し、数多くのUGCを獲得することに成功されています。UGCを使って比較的怪しまれやすいという金融系事業の信用を可視化し、見込み客の成約率向上に繋げられています。
SNSキャンペーンも効率の良い施策の一つです。ハッシュタグを使ったキャンペーンやユーザー参加型のフォトコンテストをSNS上で実施することで、多くの消費者に投稿を促すことができます。参加者に対するインセンティブ(特典やプレゼント)を提供することで投稿の意欲を高め、自然発生的に多くのUGCを集めることができます。
ホテル八木様ではSNSキャンペーンを通してUGC・フォロワー両方の獲得を行うことに成功し、得たノウハウをもとにキャンペーンを連続的に行うことで合計1万件以上のUGCを獲得することに成功されています。
他にもインフルエンサーの活用や、フォーム・メールマガジンでの取得などUGCを増やすための施策は数多くあります。これらの施策を組み合わせることで、UGCの発生を効率的に促進し、企業にとって価値のあるコンテンツを多く生み出すことが期待できます。
UGCを生み出す方法の詳しい施策は、こちらの記事で紹介しています。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)を分析することは、単にコンテンツを二次利用するだけでなく、顧客の声をデータとして活用するための重要な手段です。消費者が自発的に発信する口コミやレビュー、SNS投稿には、商品やサービスに対する率直な評価や意見が含まれており、それを分析することで多くのメリットが得られます。
UGCを分析することで、顧客がどのような点に満足しているのか、どのような不満や改善点があるのかを把握することができます。これにより、顧客のニーズや期待に応じた商品開発やサービス改善が可能になります。特に、SNSやレビューサイトに寄せられるフィードバックは、企業が自社製品やサービスに対する市場の反応をリアルタイムで把握するための貴重なデータ源です。
UGCを通じて、業界や市場の最新トレンドを把握することができます。消費者の投稿内容から、どのような商品が人気なのか、どのような問題が話題になっているのかを分析することで、競合他社との差別化ポイントを見つけることができます。競合の商品レビューやSNS投稿も含めて分析することで、自社の強みや改善点を明確にすることが可能です。
UGCの分析結果を基に、マーケティング戦略をより効果的に最適化することができます。例えばSNSで話題となっているキーワードや人気のハッシュタグを把握し、それに関連するキャンペーンを展開したり、特定の製品に対するポジティブなフィードバックが多い場合、その製品を中心にプロモーションを強化するなど、データに基づいたマーケティング施策の展開が可能です。
UGCを分析として活用することにより、顧客の声を有益なデータとしてマーケティング活動や事業戦略に反映させることができます。企業はこのデータを活用することで、顧客との関係性を強化し、競争力を高めることができます。
観光庁のDX推進プロジェクトの一つである「福井県観光DX推進コンソーシアム」では、この思想において全国的に観光実態データの把握・活用が乏しく、企画立案や商品開発が勘と経験に頼ってしまっているという課題にフォーカスしています。データを活用し、今までにない気づきや商品の企画開発を行うことにより、新たな観光地開発や既存観光地の磨き上げを行い、どのように「稼ぐ観光」を実現していくかという課題に取り組まれました。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用して顧客の声を理解するためには、さまざまな分析手法を取り入れることが重要です。これにより、消費者が投稿したテキストや画像から有益なインサイトを引き出すことができます。以下では、特に効果的な4つの分析手法を紹介します。
キーフレーズ抽出は、GoogleレビューやX(旧Twitter)の投稿など、ユーザーのテキストから重要なキーワードやフレーズを抽出する手法です。これにより、消費者が頻繁に言及するトピックや、特定の製品・サービスに対する関心事を把握することができます。たとえば、よく使われるキーフレーズから消費者が感じる製品の特徴や改善点を明らかにし、マーケティング戦略や商品開発に反映させることが可能です。
レビューやテキスト投稿の感情分析は、消費者のフィードバックをポジティブ、ネガティブ、ニュートラルに分類する手法です。これにより、製品やサービスに対する満足度や不満点を定量的に把握できます。Googleの製品レビューやSNS投稿を分析することで、顧客の評価の傾向を捉え、改善が必要な部分や強化すべきポジティブな要素を特定することが可能です。感情分析は、迅速な対応が必要なクレームや潜在的なリスクを早期に検出する際にも役立ちます。
UGCはテキストだけでなく、画像からも多くの情報を引き出すことができます。特にInstagramなどのビジュアルプラットフォームでは、投稿された画像を分析することで、製品の使用状況や人気の背景、特定のシチュエーションでの利用シーンを把握できます。画像分析の手法には、画像内のオブジェクト認識や色彩パターンの解析、画像に含まれるテキストの抽出などがあり、消費者がどのように製品を使用しているかを視覚的に捉えることができます。
ハッシュタグ集計は、InstagramやX(旧Twitter)などで使われるハッシュタグを集計・分析する手法です。ハッシュタグの使用頻度や関連性を調べることで、消費者がどのようなテーマや話題に興味を持っているかを理解することができます。たとえば、特定のキャンペーンに関連するハッシュタグの使用状況を追跡することで、そのキャンペーンの効果を測定したり、新たなトレンドを発見することが可能です。また、ブランド関連のハッシュタグを分析することで、顧客の認知度やブランドエンゲージメントの状況を把握できます。
これらの手法を組み合わせることで、UGCから得られるデータを多角的に分析し、顧客の声をより深く理解することが可能になります。テキストと画像の両方を対象にした分析を行うことで、顧客のニーズや市場のトレンドをより正確に捉え、ビジネスの意思決定やマーケティング戦略の策定に活かすことができます。
UGC活用プラットフォーム『EmbedSocial』では、システムで自動的に取得したUGCを一覧としてエクセルやCSVファイルでエクスポートすることができます。エクセルの処理でレビューの評価順や新着順に並び替え、月次・週次でどのようなUGCが集まっているかを振り返ることできます。まだUGCの多くない企業ではこの手法で顧客理解を十分に深めることができるはずです。
詳細はこちら:取得した投稿の情報をレポートとして出力する方法
UGC(ユーザー生成コンテンツ)は、適切に二次利用することで企業のマーケティング活動に大きな効果をもたらします。以下では、UGCを二次利用する具体的な手法を紹介し、それぞれの方法がもたらす効果について解説します。
消費者が投稿した写真や動画、レビューなどを企業の公式SNSアカウントでリポストする方法です。UGCをリポストすることで、顧客が企業とつながりを感じエンゲージメントが高まります。また、実際のユーザーの声を広めることで、他の消費者に対しても信頼性のあるメッセージを伝え、ブランドの好感度を向上させる効果があります。
渡辺直美氏プロデュースのカラーコンタクト『N’s collection』様は、Instagramのユーザー投稿を自社アカウントで多数リポストされ、効率的に多くのフォロワーを獲得することに成功されています。
UGCを自社のWebサイトに埋め込むことで、商品の紹介ページやホームページの信頼性を向上させます。たとえば、ECサイトの商品ページに顧客レビューを表示することで、訪問者の購買意欲を高めることができます。ユーザーの実際の声や体験がコンテンツとして組み込まれることで、ブランドの信頼感が増します。
サイトへの埋め込みには、専用のツールを活用することがベストです。Instagram公式の埋め込みコードは投稿単位・かつレイアウトが固定されており、またAPIの自社開発は多大なコストがかかるため多くの企業様にとっては現実的な選択肢ではありません。
UGCをバナー広告や動画広告の素材として使用する方法も効果的です。実際のユーザーの投稿を広告に活用することで、消費者の共感を得やすく、広告の信頼性が高まります。特にSNS広告では、ユーザーのフィードに自然に溶け込むUGCベースの広告が効果を発揮しやすくなります。
ヤマハ発動機様では、広告に関する調査を行っていた際にUGCと通常のクリエイティブにおける広告効果を検証したところ、一部の媒体においてUGCの方が2倍以上高いという結果が出たという話が印象的でした。
UGCをメールマーケティングのコンテンツとして活用することで、受信者に信頼性の高い情報を提供し、ブランドへの親近感を高めることができます。例えば、「他のお客様からこんな声が届いています」といった形でUGCを紹介し、商品やサービスの実際の利用者の声を伝えることができます。
他にも店舗内ポスターやパンフレットにUGCを取り入れることで、店頭での訴求力を高めることも可能です。消費者の声を引用することで、商品の信頼性を高める効果があり、購買を促進する一助となります。
UGCを二次利用する際には、投稿者の許諾を得ることが重要です。消費者が自発的に作成したコンテンツは著作権の対象となる場合があり、企業が勝手に利用することはトラブルを引き起こすリスクがあります。リポストやWebサイトへの埋め込み、広告での使用など、UGCをマーケティング素材として活用する場合には、投稿者に事前に連絡し、許諾を得ることが推奨されます。
許諾を取得することで、投稿者との信頼関係を築くことができ、企業のコンプライアンス遵守への姿勢を示すことにもつながります。また、許諾取得の過程で、投稿者に対するインセンティブや特典を提供することで、さらなるUGCの発生を促進することも可能です。
UGCの二次利用は効果的なマーケティング手法である一方で、法的なリスクにも注意を払う必要があります。投稿者の許諾をしっかり取得し、安心してUGCを活用できるような体制を整えることが大切です。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)の獲得難易度は業界によって異なります。特にB2C分野ではUGCが生まれやすい一方、B2B分野や日常的な商品を扱う業界では、企業からの積極的なアプローチが必要です。以下では、UGCを獲得しやすい業界と獲得しにくい業界の具体例を5つずつ紹介します。
B2B分野や専門的な商材では、UGCの生成が難しい傾向があります。企業向けソフトウェアや製造機械などは、一般消費者には日常的に接する機会が少なく、技術的な内容が多いため、UGCの投稿が限定的です。また、コンサルティングサービスや医療機器、法人向け金融サービスなど、専門性が高く視覚的に訴求しづらい分野では、消費者が体験を共有する動機が弱いため、UGCを得るのが難しくなります。こうした業界では、導入事例の共有や専門家によるレビューコンテンツを活用するなど、積極的にUGCを促進する取り組みが求められます。
これらの業界では、消費者が非日常的な体験を楽しむため、シェアする動機が高く、ポジティブなUGCが自然に生成されやすいのが特徴です。旅行や観光の写真、結婚式の瞬間、イベントのライブ感、高級リゾートでの宿泊体験、アウトドアのアクティビティは視覚的に魅力的なため、多くの消費者が自発的にSNSでシェアする傾向にあります。
日常的な商品を扱う業界では、非日常的な商材に比べてUGCの生成が難しいため、企業側からの積極的なアプローチが必要です。ファッションや飲食業界では、ハッシュタグキャンペーンやレビュー投稿のインセンティブ、ユーザー参加型のコンテストなどを通じて、消費者が投稿する動機を高めることが重要です。家電製品や日用品についても、使い方や利用シーンをシェアしてもらう施策が効果的です。
UGCを獲得するためには、各業界の特性に応じた計画的なアプローチが不可欠です。日常的な商材や専門的な分野の業態では特にUGC獲得のハードルが高くなるため、企業の積極的な取り組みが成果を左右します。
UGCを使用する際には、著作権やプライバシーに十分な配慮が必要です。ユーザーが投稿したコンテンツを企業が勝手に使用することは、法的な問題を引き起こす可能性があります。UGCを活用する場合は、投稿者から使用許可を得ることが基本です。また、個人情報が含まれるコンテンツについては、適切なぼかし処理やデータの削除が必要です。これにより、ユーザーの権利を尊重し、法的リスクを回避できます。
基本的には活用するUGCの投稿者に事前に使用許可を取ったうえで活用するのが好ましいです。ただしシステムを通した許諾申請だけが手法ではなく、例えばSNSキャンペーンの参加規約として特定のハッシュタグがついた投稿を二次活用する旨を含めておくことで、投稿されたと同時に規約に同意したとみなす方法があります。他にも中小規模で運営している対面のサービスであれば、口頭でUGCの投稿二次利用の許可を得るのも方法の一つです。
UGCは消費者のリアルな声を反映しているため、時にはネガティブなフィードバックや不満の声が含まれることがあります。こうしたネガティブなコンテンツが露出することで、ブランドイメージに悪影響を及ぼす可能性があります。企業は、UGCを選定する際に慎重にコンテンツをチェックし、場合によってはネガティブな投稿に対して適切な対応策を取る必要があります。迅速かつ誠実な対応が信頼の維持に繋がります。
基本的には、ポジティブなUGCで目立たなくするのが最善の方法です。全くネガティブな評価のないサービスは逆に怪しまれるため、一定のネガティブな評価は決して悪いことではありません。また返信により、不足の事態にも誠実な対応をする企業である点をアピールできれば、消費者は安心して購入することができます。
削除申請用フォームを用意するのも方法の一つです。ユーザーがUGCの掲載取り下げをいつでも申請できるよう専用の窓口を設けることで、仮に掲載取り下げが発生しなくともユーザーに対する安心感を与えることができます。UGCの削除フォームは無料で作成できるため、許諾申請の取得と合わせて実施するのも効果的です。
詳しくはこちら:UGC削除フォームを無料で作成する
UGCは消費者の視点から生成されるため、ブランドの意図するメッセージや価値観と必ずしも一致しない場合があります。企業がUGCを取り入れる際は、ブランドイメージと一致する内容を選び、使用するコンテンツが一貫したメッセージを発信しているかを確認することが重要です。
サイトへの掲載などにあたっては、適切なキュレーションを行うことで、UGCの効果を最大限に引き出すことができます。全てのUGCを無条件に活用するのではなく、自社の顧客層やブランドメッセージなどを考慮した活用が求められます。
詳しくはこちら:取得した投稿の表示・非表示を切り替える方法
ユーザー様からよくある質問として「UGCを導入することで表示が遅くなるのでは?」といった懸念があげられます。ただし実際に読み込みが遅くなったという報告を受けて調べてみると、多くの場合がUGCだけが原因ではなく、サイト全体の最適化が必要なケースがほとんどです。具体的には、画像サイズの最適化が不十分であったり、無駄なスクリプトやスタイルシートが存在する場合に、UGC以外の要因も影響を及ぼします。
EmbedSocialでは、UGC読み込みにLazy Load(遅延読み込み)を加えることで、ユーザーがスクロールするまでは画像や動画を読み込まないように設定できます。これにより、初期読み込み時のデータ量を減らし、ページの表示速度を向上させることができます。
詳しくはこちら:Lazy Loadを活用する方法
UGC(ユーザー生成コンテンツ)マーケティングの効果を測定する際、単にサイトのコンバージョン率(CVR)や一時的な成果だけに焦点を当てるのではなく、長期的なブランディングの視点で評価することが重要です。UGC施策の本質的な目的は、価格競争から抜け出し長期的なロイヤルカスタマーを育成することにあります。そのため、短期的な数値指標だけでなく、以下のような長期的な観点から効果を評価する必要があります。
UGCマーケティングは、短期的な売上やCVR向上だけを目指すものではありません。顧客がブランドとの関係性を深めることで、長期的に持続するロイヤルカスタマーを育て、価格要素に左右されない価値を提供することが究極の目標です。そのため、効果測定では、消費者との関係性がどれだけ深まったかを評価する指標を設けることが重要です。
参考になる考え方の一つとして、著名なブランド研究家であるデービッド・アーカー氏による「ブランド論」の考え方があげられます。「ブランディング」という広い領域の言葉を細分化し、「ブランド認知」「知覚品質」「ブランド連想」「ブランドロイヤリティ」「その他ブランド資産」という5段階に分けてブランドと顧客の関係値を説明しています。
ここでのポイントは、顧客が企業をどのような言葉で捉えるかという点にあります。顧客はブランドの名前を知るフェーズからスタートし、いつしかその名前が特定のカテゴリと紐づくようになります(名詞的な関係)。ここでは、ブランドがカテゴリにおける信頼の象徴となっており、ユーザーが自分の選択肢として自然にそのブランドを思い浮かべます。ブランド認知が強く、競合他社と比較しても優位に立つ状態です。
次にブランドが単なる物ではなく、特定の状況や気分においてユーザーにポジティブな影響を与える存在となります(形容詞的な関係)。この段階では、ブランドがユーザーのライフスタイルや感情に寄り添い、特定のシーンで価値を提供する存在として認識されます。ユーザーにとってブランドが生活の中で特定の役割を果たす段階です。
最も深いフェーズでは、ブランドがユーザーにとって欠かせない存在となり、単なる商品以上の意味を持ちます。ここでは、ブランドに対する強い愛着や依存が形成され、ユーザーはそのブランドを支持し続け、生活の一部として深く結びついています(動詞的な関係)。この段階のユーザーは、ブランドの忠実なファンとなり、他者にも積極的に勧める存在です。
UGCの効果を測定するためには、企業・ブランドごとの顧客との関係地に合わせた適切なKPIを設定することが不可欠です。以下では、具体的なKPIの例を紹介し、それぞれの指標が持つ意味や目的を説明します。
特定カテゴリにおいての認知されるためには、以下のような指標を参考にすることができます。ただし、特定カテゴリ内で単に露出を広げるだけでは選ばれる存在とはならないため、消費者が認知したうえでそのカテゴリにおいて一番と感じる差別化、サービスの磨き上げなどが重要となります。
Googleなどの検索エンジンでのブランド名の検索数を定期的にチェックすることで、UGC施策がブランド認知度の向上に寄与しているかを確認します。検索数の増加は、消費者の興味関心が高まっていることの指標となり、ブランディングの効果を測る上で重要です。
特定カテゴリにおいての認知されるためには、以下のような指標を参考にすることができます。ただし、特定カテゴリ内で単に露出を広げるだけでは選ばれる存在とはならないため、消費者が認知したうえでそのカテゴリにおいて一番と感じる差別化を行うことが重要です。
価格や機能面での優位性といった外面的要素だけでなく、ブランドが解決しようとしている社会課題への共感や顧客への優れた価値提供への感謝、企業やサービスへのポジティブな印象など内面的動機が購買理由となる機会が増加することは、一つの判断材料になります。
口コミやレビューの中で、ポジティブなフィードバックの割合が増えているかをモニタリングします。UGCを活用することで、顧客のブランド評価が向上しているかを判断することができ、施策の効果を定量的に示す指標となります。
このフェーズでは、顧客がブランドに対してどれだけ愛着を感じ、アクションを起こしているかを推し量る必要があります。最終的には売上に繋がらなければ意味がないため、最終的なKGIはリピート購入の増加が主要なゴールとなり、中間指標としてブランドエンゲージメントなどを参考にすることができます。
UGC施策を導入する前後でのリピート顧客の数や頻度を比較し、UGCが顧客のロイヤリティを高めているかを測定します。長期的にブランドを支持してくれる顧客が増えることは、企業の安定した成長に不可欠です。
SNSでのエンゲージメント率(いいね、シェア、コメント数など)を長期的に追跡し、顧客がブランドにどれだけ関心を持ち、積極的に関与しているかを評価します。エンゲージメントが高いほど、ブランドと消費者との関係が強固であることを示し、ロイヤリティ向上にもつながります。
以上のような方法で自社の現在地と照らし合わせたUGCの効果測定を行うことができます。ブランディングの視点をもつことで、企業の販促活動に中長期的な成果を考えることができるようになります。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)を効果的に活用するためには、PDCAサイクルを取り入れて継続的な改善を図ることが不可欠です。また、効果測定においては、短期的な指標にとどまらず、ブランドの価値向上を意識した中長期的な視点を持つことが重要です。ブランディングの考え方を反映し消費者との信頼関係を築きながら、持続的な成長を目指すことが求められます。
このような視点を踏まえると、UGCは単なるマーケティングのコンテンツにとどまらず、全社の経営課題を解決するための重要な資産であると言えます。UGCは消費者のリアルな声や体験を反映しており、経営戦略の強化や製品開発、顧客理解の深化など、さまざまな部門で活用することができます。そのため、UGCを全社的に取り入れていくことで、企業全体の成長を支え、最も効果を発揮することができるのです。
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